大ナゲシ北稜
2015年 12月 30日
2015の〆として高難度のバリエーションルートに行ってきた。
冬休みに入ったと同時くらいにアルピニスト君から
「29日に大ナゲシ北稜行かないっすか?」
と連絡が入った。どうやら今年は雪が少なくBCの予定がオジャンになってしまったみたい。
夜は夜警だけど昼なら空いてたので即OK。この間の赤岩尾根で今年の西上州は終わりかな〜と思ってたからラッキーだw
そもそも大ナゲシ北稜ってヤツは、かの西上州マスター「打田鍈一」さん著書の藪岩魂の中で紹介されてるルート中、最難とされているルート。やはりアルピニスト君とじゃないとキツい印象があった。それをこの歳末に挑戦出来るとはね…w
当日はアルピニスト君の会社のOさんも来るとのこと。かなりの西上州好きで(というか西上州しか行かないらしい)期待大だ。
事前にルートをチェック。多分25000分の1には載っていない岩場はゴロゴロしてるだろう。藪岩魂のトポと照らし合わせて頭に入れておく。ハーネスや環付きビナなど懸垂下降ギアもチェックして準備は完璧w
そして当日。
下仁田道の駅に集合し、薄暗い野栗沢集落の先の赤岩橋に車を停める。ちょっと雲が多い気がするのは気のせいか…
赤岩橋から少し戻ってこのくりみ橋の左岸からトレイルに入る。右岸は水源なので立入禁止とのこと。
このルート、はっきり言って目印になるようなテープは皆無。あるのは林業用のテープばかりだからルートファインディングはかなりレベルが高い。とりあえず沢沿いを進み写真の石垣から尾根に向かって超急登を登る。
落葉が滑ってそれなりに危険な斜面だ。目指す尾根は頭上に見えてるのでどこを登っても問題はないと思う。
尾根に出ると主稜線に向かって伐採地を登る。尾根は明瞭なので迷うようなところはないがここも上部はそれなりに急な登りだ。
北から尾根を合わせると主稜線に乗った。進路は南へ。すぐに1073mピークがありその先が最初の懸垂下降点。
上から見るとそんなに高さは感じない。実際は15mの下部がハングした崖になっている。ハングしてるってことは完全に空中かな〜w
久し振りの懸垂下降のセット。だけど桧沢岳北西稜に比べたら恐怖感は感じない。それより他の2人はヘルメットなのに俺ときたら…相当チャラいなw
やっぱりチャラいというかナメてるな〜
2番手のOさん。こちらから見るとなかなか高い 汗
ここはスムーズに通過。特にアルピニスト君の下降スピードは早い。手練れですねw
この辺りまで来るととにかく寒くて寒くて。西の方は雪が降ってるようで風花が飛んでくる。雨よりはマシだけど降られたくはないなぁorz
踏み跡すらない急斜面を登っていく。気持ち右上に登っていくといいのかもしれない。
しばらく登ると岩壁に当たる。よ〜く見ると岩壁と岩壁の間が割れていて巨大なルンゼになっている。凄い迫力のルンゼだ。トポによればここを登るとある。
そのスケールのデカさに3人とも興奮していたのは言うまでもない。登攀自体は木の根や岩のホールドは多彩だし角度もそんなにキツくないので問題ない。
この後、トポにあった「ミイラみたいなダケカンバ」を発見出来ずにそのままルンゼを直登。まぁトポに従わなくてもスキルの範囲内で行けるルートならね〜
ルンゼを登りきり少し傾斜が緩むと野栗沢諏訪山の肩?。西へ少々でピークに着いた。
野栗沢諏訪山1330m。朽ちた祠が目印だ。ここで初めての大休止。このピークの南面は絶壁になっていて懸垂だと何ピッチになるんだろう?ルートは巻いていくので大丈夫。
中央が大ナゲシ。こう見ると近いが核心はここからなので油断は出来ない。
野栗沢諏訪山から来たトレイルを少し戻り南面の絶壁を巻くようにトラバースしながら進むんだけどここは迷いやすいと思う。
獣道だか薄い踏み跡なのかよくわからない。でも位置的にはこっちで合ってるだろうと3人でルートファインディングしつつ一見無理そうな岩稜を下る。周りをよく見てみると頭上に南面絶壁が見える。その先は切れ落ちてなくて絶壁の基部を進むようにトラバース。
「七」の標石。どうやら自分らが選択したルートは正解だったらしい。この辺りはルートファインディングに失敗するとヤバい事になりかねない。良かった良かったw
続いて「八」の標石。人工物の目印はこういうルートにはありがたい。
岩壁を右から巻き〜
1356mピークを通過。
正面にそびえるのは前衛峰(小ナゲシ)。ルートファインディングとしてはここからが最大の核心になるだろう。
トポのように進んでもいまいち釈然としない地形。しばしの相談の結果、このまま急斜面を詰め上がろうという事になった。
苔と倒木、凍った土の急斜面。ホールドは多彩だが滑ろうものなら下まで転がってしまう角度。慎重に登っていく。
正面に稜線の明るみが見え始めるとさらに傾斜は増す。4足歩行でなんとか這い上がり前衛峰に到着。
正面には大ナゲシの岩場までよく見える。
少し進むと展望岩があるのでそこで2度目の大休止。ルートファインディングに神経を使ってるのでこの景色は癒しだね。みんなかなりテンション上げてた。
アルピニスト君もFOCUS Rの背負い心地に感動していたw
このバックパックは藪漕ぎバリエーションルートには本当に最適。背中に張り付き揺れないので岩場や不安定な足場での移動も安心出来るし引っ掛けても丈夫だし。
この後すぐに2度目の懸垂下降点。今度は25mの泥ルンゼを下る。毎度思うが最初にこのルートに来た人はよくここを下ろうと思ったよな。下は見えないしね。
まぁそういう人がいるから自分らも来れるわけだから感謝の意しかないんだけどw
途中で架け替えもできそうだし30mロープの2ピッチでもいけそうだがアルピニスト君とOさんのロープ2本を連結して30m1ピッチで行ってやろうと。
ロープ持ってなくてすいません御二方 汗
長〜い懸垂下降w
ここはルンゼだけど懸垂下降じゃないと確実に無理だね。アルピニスト君のロープワークにOさんとしばし感動w
ラストコルへのトラバース。
両側から沢の源頭が立ち上がるラストコル。正面の岩壁を右に巻いていくと大ナゲシへの一般ルートに合流。ついに!ですねw
後は整備された岩場を登れば大ナゲシに到着。この頃には天気も回復し好展望に恵まれた。
奥秩父。
ついこの間の赤岩尾根。
上武国境稜線。
やっぱり西上州随一の展望だなーこの山は!しかも先週は赤岩尾根から眺めていたのに今回はこちらから向こうを眺めている。贅沢だねw
しかも通ってきた北稜も一望出来る。改めて見るとゴツい稜線だな。前衛峰への登りはここから見ても凄い急斜面ww
自分以外の2人は初めての大ナゲシだったのでかなり感動していた。多分山頂に1時間強いたんじゃないかな?ww
という事で下山を開始。
昼過ぎのトレイル。普段この時間は下山完了してるので陽の当たり方が新鮮で綺麗だった。
そしてこれ。赤岩峠手前の岩場からの赤岩岳。本当にスケールがデカい!写真じゃ伝わらないけどまぁ…とにかくデカいって事で。
深い谷底のトレイルを延々歩いて赤岩橋へ戻ってきた。時間は大体トポ通り。あれだけ休憩してだからそれなりに早かったんじゃないだろうか?
総括として。
今回はルートファインディングがほぼ的中したし特にトラブルもなかった。そういう状況だからかもしれないが、ルートファインディングなら大ナゲシ北稜。岩場の技術、メンタルでは桧沢岳北西稜になるのかな。少なくとも自分はそう感じた。
でも藪岩魂の中で最難関と言われているルートを踏破出来たのは素直に嬉しい。西上州はまだまだ飽きさせてくれなそうです!
Oさん、アルピニスト君ありがとうございました。
おしまい
と連絡が入った。どうやら今年は雪が少なくBCの予定がオジャンになってしまったみたい。
夜は夜警だけど昼なら空いてたので即OK。この間の赤岩尾根で今年の西上州は終わりかな〜と思ってたからラッキーだw
そもそも大ナゲシ北稜ってヤツは、かの西上州マスター「打田鍈一」さん著書の藪岩魂の中で紹介されてるルート中、最難とされているルート。やはりアルピニスト君とじゃないとキツい印象があった。それをこの歳末に挑戦出来るとはね…w
当日はアルピニスト君の会社のOさんも来るとのこと。かなりの西上州好きで(というか西上州しか行かないらしい)期待大だ。
事前にルートをチェック。多分25000分の1には載っていない岩場はゴロゴロしてるだろう。藪岩魂のトポと照らし合わせて頭に入れておく。ハーネスや環付きビナなど懸垂下降ギアもチェックして準備は完璧w
そして当日。
下仁田道の駅に集合し、薄暗い野栗沢集落の先の赤岩橋に車を停める。ちょっと雲が多い気がするのは気のせいか…
赤岩橋から少し戻ってこのくりみ橋の左岸からトレイルに入る。右岸は水源なので立入禁止とのこと。
このルート、はっきり言って目印になるようなテープは皆無。あるのは林業用のテープばかりだからルートファインディングはかなりレベルが高い。とりあえず沢沿いを進み写真の石垣から尾根に向かって超急登を登る。
落葉が滑ってそれなりに危険な斜面だ。目指す尾根は頭上に見えてるのでどこを登っても問題はないと思う。
尾根に出ると主稜線に向かって伐採地を登る。尾根は明瞭なので迷うようなところはないがここも上部はそれなりに急な登りだ。
北から尾根を合わせると主稜線に乗った。進路は南へ。すぐに1073mピークがありその先が最初の懸垂下降点。
上から見るとそんなに高さは感じない。実際は15mの下部がハングした崖になっている。ハングしてるってことは完全に空中かな〜w
久し振りの懸垂下降のセット。だけど桧沢岳北西稜に比べたら恐怖感は感じない。それより他の2人はヘルメットなのに俺ときたら…相当チャラいなw
やっぱりチャラいというかナメてるな〜
2番手のOさん。こちらから見るとなかなか高い 汗
ここはスムーズに通過。特にアルピニスト君の下降スピードは早い。手練れですねw
この辺りまで来るととにかく寒くて寒くて。西の方は雪が降ってるようで風花が飛んでくる。雨よりはマシだけど降られたくはないなぁorz
踏み跡すらない急斜面を登っていく。気持ち右上に登っていくといいのかもしれない。
しばらく登ると岩壁に当たる。よ〜く見ると岩壁と岩壁の間が割れていて巨大なルンゼになっている。凄い迫力のルンゼだ。トポによればここを登るとある。
そのスケールのデカさに3人とも興奮していたのは言うまでもない。登攀自体は木の根や岩のホールドは多彩だし角度もそんなにキツくないので問題ない。
この後、トポにあった「ミイラみたいなダケカンバ」を発見出来ずにそのままルンゼを直登。まぁトポに従わなくてもスキルの範囲内で行けるルートならね〜
ルンゼを登りきり少し傾斜が緩むと野栗沢諏訪山の肩?。西へ少々でピークに着いた。
野栗沢諏訪山1330m。朽ちた祠が目印だ。ここで初めての大休止。このピークの南面は絶壁になっていて懸垂だと何ピッチになるんだろう?ルートは巻いていくので大丈夫。
中央が大ナゲシ。こう見ると近いが核心はここからなので油断は出来ない。
野栗沢諏訪山から来たトレイルを少し戻り南面の絶壁を巻くようにトラバースしながら進むんだけどここは迷いやすいと思う。
獣道だか薄い踏み跡なのかよくわからない。でも位置的にはこっちで合ってるだろうと3人でルートファインディングしつつ一見無理そうな岩稜を下る。周りをよく見てみると頭上に南面絶壁が見える。その先は切れ落ちてなくて絶壁の基部を進むようにトラバース。
「七」の標石。どうやら自分らが選択したルートは正解だったらしい。この辺りはルートファインディングに失敗するとヤバい事になりかねない。良かった良かったw
続いて「八」の標石。人工物の目印はこういうルートにはありがたい。
岩壁を右から巻き〜
1356mピークを通過。
正面にそびえるのは前衛峰(小ナゲシ)。ルートファインディングとしてはここからが最大の核心になるだろう。
トポのように進んでもいまいち釈然としない地形。しばしの相談の結果、このまま急斜面を詰め上がろうという事になった。
苔と倒木、凍った土の急斜面。ホールドは多彩だが滑ろうものなら下まで転がってしまう角度。慎重に登っていく。
正面に稜線の明るみが見え始めるとさらに傾斜は増す。4足歩行でなんとか這い上がり前衛峰に到着。
正面には大ナゲシの岩場までよく見える。
少し進むと展望岩があるのでそこで2度目の大休止。ルートファインディングに神経を使ってるのでこの景色は癒しだね。みんなかなりテンション上げてた。
アルピニスト君もFOCUS Rの背負い心地に感動していたw
このバックパックは藪漕ぎバリエーションルートには本当に最適。背中に張り付き揺れないので岩場や不安定な足場での移動も安心出来るし引っ掛けても丈夫だし。
この後すぐに2度目の懸垂下降点。今度は25mの泥ルンゼを下る。毎度思うが最初にこのルートに来た人はよくここを下ろうと思ったよな。下は見えないしね。
まぁそういう人がいるから自分らも来れるわけだから感謝の意しかないんだけどw
途中で架け替えもできそうだし30mロープの2ピッチでもいけそうだがアルピニスト君とOさんのロープ2本を連結して30m1ピッチで行ってやろうと。
ロープ持ってなくてすいません御二方 汗
長〜い懸垂下降w
ここはルンゼだけど懸垂下降じゃないと確実に無理だね。アルピニスト君のロープワークにOさんとしばし感動w
ラストコルへのトラバース。
両側から沢の源頭が立ち上がるラストコル。正面の岩壁を右に巻いていくと大ナゲシへの一般ルートに合流。ついに!ですねw
後は整備された岩場を登れば大ナゲシに到着。この頃には天気も回復し好展望に恵まれた。
奥秩父。
ついこの間の赤岩尾根。
上武国境稜線。
やっぱり西上州随一の展望だなーこの山は!しかも先週は赤岩尾根から眺めていたのに今回はこちらから向こうを眺めている。贅沢だねw
しかも通ってきた北稜も一望出来る。改めて見るとゴツい稜線だな。前衛峰への登りはここから見ても凄い急斜面ww
自分以外の2人は初めての大ナゲシだったのでかなり感動していた。多分山頂に1時間強いたんじゃないかな?ww
という事で下山を開始。
昼過ぎのトレイル。普段この時間は下山完了してるので陽の当たり方が新鮮で綺麗だった。
そしてこれ。赤岩峠手前の岩場からの赤岩岳。本当にスケールがデカい!写真じゃ伝わらないけどまぁ…とにかくデカいって事で。
深い谷底のトレイルを延々歩いて赤岩橋へ戻ってきた。時間は大体トポ通り。あれだけ休憩してだからそれなりに早かったんじゃないだろうか?
総括として。
今回はルートファインディングがほぼ的中したし特にトラブルもなかった。そういう状況だからかもしれないが、ルートファインディングなら大ナゲシ北稜。岩場の技術、メンタルでは桧沢岳北西稜になるのかな。少なくとも自分はそう感じた。
でも藪岩魂の中で最難関と言われているルートを踏破出来たのは素直に嬉しい。西上州はまだまだ飽きさせてくれなそうです!
Oさん、アルピニスト君ありがとうございました。
おしまい
Commented
by
Sらい
at 2016-01-02 17:48
x
毎年UBさんの山座同定には脱帽です。
今年も怪我無く楽しみましょう(^-^)
今年も怪我無く楽しみましょう(^-^)
0
Commented
by
gyalic_18000 at 2016-01-08 00:20
ですね。何回行けるかわかんないけど今年もシビれる山行やりましょう!
by gyalic_18000
| 2015-12-30 17:22
| 群馬の山
|
Comments(2)