桧沢岳北西稜

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西上州の危険度Sランクルートへ。






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僕にとってレジェンドな打田鍈一さんの著書『藪岩魂』。西上州が好きならこの本はバイブル的な物で、入門編からヤバいルートまで紹介されています。

その中でも今回行って来たのは最恐クラスの『桧沢岳北西稜』というルート。桧沢岳は南牧村にある山で南面に一般向けの登山道が開かれていますが、北西稜は完全に登山道ではない読図と岩の技術を駆使する俗にいうバリエーションルートです。藪岩魂でいえばハイグレードハイキングというヤツです。

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そんなヤバいルートに誘ってくれたのは最近ボルダーだけじゃなくリード、マルチと様々なクライミングに手を出しているアルピニスト君。実際この手のルートに行くならアルピニスト君をおいて他はいないだろうと思ってたので即OK。本当はアルピニスト君の知り合いの西上州が大好きな方が一緒のはずだったんだけど風邪で断念、二人で行くことになった。

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天気は最高、気温もそこまで低くなく絶好のハイグレハイク日和w

南牧村磐戸から少し入った椚橋を渡ってすぐの林業作業道からトレイルに入っていきます。

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作業道に入って100m強くらい?で左側に露岩が現れるのでその辺りから適当に植林の急斜面に取付きます。よ~く見ると薄い踏み跡がジグザグに着いてますがあまり当てにせず尾根を目指します。

自分らが登って行ったところは急登を詰めると傾斜が緩みました。その辺り前方にいかにも尾根な地形が見えるのでそこを目指します。

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尾根に乗ると写真のような急登が続きますが尾根筋は概ね明瞭だったと思います。とにかく最初の574mピークまでは急登続きだったような・・・

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正直この辺りは想像以上に明瞭な尾根道で拍子抜けしました。まぁこの季節で見通しがいいのもあるんだろうけど迷うようなところはないと思います。あくまでこのルートをとるようなレベルのハイカーなら、という事だけど。

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下の方はもみじの紅葉がピークでとてもきれいだった。

ただ、ネットの記録にもあったけど熊の糞が落ちてて小便をした後まである。しかも乾いてなかったので割と近い時間にここにいたのかも。熊棚も確認できたし。ビビったアルピニスト君はこっそり先頭を自分に譲り笛を吹きまくっていたww

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樹間から小沢岳。この山の西稜も面白そうだね。

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アルピニスト君はメットを持ってきてたけど自分はナメきったヘアバンド。だって持ってないんだよ!いずれは買わないとな。

日帰りならいつものUDのベストだけど今回は懸垂下降用の装備が入ってるのでPikaPack。こういうハイクでは強固な外メッシュポケットとX-PACのボディが頼りになる。

最終的に結構な枝藪を漕いだけどダメージゼロ。ULなバックパックでもX-PACやキューベン、ダイニーマXグリッドとかなら十分藪山に使える。シンプルな分、枝などが引っかからないという利点もあると思う。今回そう感じました。

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明瞭な尾根を辿り小さなこぶピークを二つ超えると911mのピークに着きます。

アルピニスト君は自分と違って今年は

「岩>山」で、全然歩いてないらしくひどくバテててた。ちなみに自分は「山>岩」なので息もきれず。先週の病み上がりとは打って変わって好調です。

さて、ここまでは問題なく来たけどここから先がこのルートの核心の始まり。気を引き締めて先へ進みます。

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911mピークから少し行くと展望のいいとこに出ます。北側の展望が開けて鹿岳が近い。

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目の前には桧沢岳。ここから見るとかなり近いけど・・・

で、この展望岩峰から先はすべて崖になってて先に進めない。枝藪の中に踏み跡があったから来てしまったけどロストしたみたい。少し戻って右手斜面にデカいボルダーが見える辺りを下ってこの展望岩峰を巻いていきます。

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この斜面は落石に気を付けながらトラバースしていく。土が締まってなくてガラガラ崩れるw

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しばらく岩稜を右に左に巻いていきます。失敗できない巻道が続き嫌でも緊張させられる。道という物はなく行けそうなところを選んで進んで行くというアドベンチャラスな感じ。危険度は相当高いけどなにやら研ぎ澄まされる感覚。ヤバいですwww

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岩稜の右側から枝藪の急斜面を這い上がると岩稜上へ抜ける。逆光でわかりづらいけどここがモアイ岩。ここまではほぼ正解ルートを辿れてるので少し休憩していく。

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左の植林ピークが911m峰。手前が巻いてきた岩峰。なかなかデンジャーな尾根だけどまだ序の口。この先は核心部が続きます。

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モアイ岩をヘツる。余裕そうに見えるけど後ろは数十mの崖ですw

この先も嫌な感じのトレイルが続く。普通だったら鎖やロープが垂れているであろうセクションも何も無し。ボルダーグレードで言えばせいぜい8~10級クラスなんだけど失敗できないのですごく難しく感じる。とにかくカツると超急斜面か普通の崖。やべ~w

松葉のピークの手前で少々ロストしたけど問題無し。松葉のピークからは左後方に戻るように尾根を進む。

そのうちどんどん周りが切り立ってきてついに道が無くなった。本当にふいに無くなる。

正確に言うと無くなったのではなく崖の下にトレイルは続いている。懸垂下降点だ・・・。

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アルピニスト君がロープが足りるか・・・などなどセットしている(ロープは30mで大丈夫でした)。嗚呼、ついに来たか・・・

だいたいクライミング歴もうすぐ8年になるくせにボルダーに完全傾倒していた自分はハーネス装着歴たった3回・・・!リードの技術が皆無なのでまったくの初心者。たかが懸垂下降でも相当ビビっている。

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どうだ!まったく様になってないだろう!

準備は出来た。やり方を教えてもらっていきなり行って下さい・・・と!ハッキリ言ってマジで怖い。

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下が見えない15mの崖。よくTVで視るトーントーンみたいな感じではなく腰の引けた情けない懸垂下降。特に出だしが恐ろしかったけど途中まで行くと慣れてきて気付いたら地面だった。

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さすがアルピニスト君、早い!写真で見るより高い!

この懸垂下降ってのは慣れですね。セットさえ間違えなければ問題ないでしょう。いきなり15mの垂壁はなかなかないですよ!ってアルピニスト君も言ってたし使える技術なんで要練習ですねw

ちなみにこの懸垂下降点、自分らの時は出だしの石がグラついててヤバかったです。アルピニスト君は支点を変更して降りてきたくらいなので注意が必要だと思います。もしかしたらがあるので・・・。

この先すぐ岩壁にぶつかります。すさまじい高度感の右方向のバンドはすぐ途切れるけど気合のクライミングで岩稜上に出られそう。でも落ちたら・・・間違いなく死にますね。岩も脆そうだしとても登れる岩ではない。

ここはセオリー通りに左からトラバースしていきます。

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藪岩魂にも書いてあるけどこのトラバースは相当悪いです。特にこの写真のセクションはスタンス乏しくホールドは頼りないブッシュ!もちろん落ちれません。パーティーによっては確保した方が無難でしょう。

抜けそうなブッシュを一手一手確認しながらのトラバース。しかも最後は木のうろ上に泥と落葉が積もったランディングにジャンプという・・・!正直今回のルート中、一番嫌だったのはここだった。足が短いと苦労するわ~と思ったのは言うまでもない。

ここを超えると下部が岩、上部が泥と根っこの8mクライミングになります。傾斜はかなり立ってるけどホールドはちゃんとあるのでしっかり掴めば問題ないと思うけど、ここも場合によってはビレイした方がいいかもしれません。落ちるとヤバイです。

登りきって岩稜まであと少しという所で道が無くなる。多分ここを登るんじゃ?ってのがあるけどあまりの高度感に躊躇してしまう。

アルピニスト君が右側から登れるか確認しに行き、自分は8m登りきった正面から登れるか見に行く。まぁ登れるんだけど最初のハイステップ&立込みが恐ろしい・・・。しばらくしたらアルピニスト君が上から呼んでいる。右斜面を登りきったらしいけどマジでヤバかったみたい。

とりあえずスリング連結して自分のハーネスにセット、気休めにしかならないけどなんとか自分もこの正面壁を登った。最初の立込みさえ出来ればブッシュを掴めるので問題ないかな。

岩稜上は今日一の高度感!恐ろし過ぎる高さの中のトラバースはマジで恐ろしい・・・。そして無くなるトレイル。本日2回目の懸垂下降!

かなり狭い岩稜上なので二人共ちゃんとセルフをとって準備。本当に狭い!すぐ崖なのに!

狭い故に絡まるロープ。ここはかなり時間食いました。アルピニスト君の「このロープ使えね~!」が響き渡るwww

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またしても自分が先に行かせてもらう。今回は8mなのでさっきよりはマシだけど下部が被ってて空中になる・・・でもまぁ2回目なので大丈夫でした。

この懸垂下降を越えればあとは難しい所はない。といっても落ちれないには違いないので油断せず進んで行きます。最後の急斜面をジグザグに登りきると・・・

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立入禁止のロープを越えて桧沢岳西峰に到着。ようやく緊張から解放された~w

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展望のいい岩峰の上で昼飯。時間もちょうど12時くらいだった。二人共安堵しかない、そんな感じw

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無事に終わらせてくれてありがとうという事で一般コースで下山。

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北西稜に比べればただの遊歩道。自分らが如何にヤバい所を通ってきたか実感したww

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車道に出て南牧の集落の中を歩く。日本の原風景だよな~山の中の集落ってみんなこんな感じでしょう?素晴らしい。いつまでも残っててほしい風景だと思う。かく言う自分も嫁さえ良ければこういう所に引っ込んでもいいと思うんだけどw

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下の車道から今日の核心部を見上げてみる。ヤバいゴツり具合だなww

延々と車道を歩き続け本日の行程終了!最後の最後でアルピニスト君がまさかの側溝で骨折しかけたけどそれ以外はトラブルもなく行ってこれて満足。



今回のルートは一般とはかけ離れた人外境ルート。3000m級の縦走路よりも圧倒的にLVが高いって言う人もいるようなルートなので超デンジャラス。そういう意味では標高が低かろうがヤバいものはヤバいってことでもある。

こういうルートはアルピニスト君以外とじゃあ絶対に歩けないだろうし、今回も二人で入念に調べ上げてきたから大きなロストもせずに行ってこれたのだと思う。まだまだ西上州にはヤバいルートたくさんあるし遊べるなw

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Thanks アルピニスト君!休み合ったら

『手に届く冒険を日帰りの低山で』またやりましょう!




by gyalic_18000 | 2014-11-24 20:37 | 群馬の山 | Comments(0)

軽めの道具で山を歩いたり走ったりする男のブログ


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